広場

広場論について大御所と言えば19世紀オーストリアの都市計画家・建築家・画家でもあるカミロ・ジッテを外せないだろう。『広場の造形』の中で、優れた広場の条件としてカミロ・ジッテかく語りき。

  1. 広場の中央を自由にしておくこと
  2. 閉ざされた空間としての広場
  3. 広場の大きさと形
  4. 古い広場の不規則な形
  5. 広場郡

これが、ジッテの5原則である。

「広場の造形」は空間造形のバイブルとして100年以上という悠久の歴史を越えて読み継がれてきたものである。

「その市街が将来どのようなものになるか、またどのような公共建築や広場をもつのかということについて、はっきりとした構想を持ってない限り、芸術的な意図を持った計画を始めることはできない。」

ジッテが賛美したものはイタリアや北ヨーロッパに多いイタリア式広場でゴシック、ルネサンス、バロック期の広場である。近代化に移行する時代の中で、画一的な単調さと、芸術性への無関心に警鐘を鳴らし、単体空間の魅力、人が生きることの意義を現出できる空間こそ価値があると。今でいう所のコミュニケーションを生む、「賑わい」や「祝祭」がある広場空間だろうか。

広場のタイプはイタリア式とフレンチ式の二種類がある。

まずイタリア式はイタリアや北ヨーロッパに見られる伝統的な広場でそこの住民たちが今まで生きてきた経験や暮らしの智恵や美学により、歴史を通じて経験則的に築き上げてきた広場である。広場は不規則な形をしていて、周りを囲む建物ファサードも異なっており、広場の中心を開放し端にモニュメントなり彫像を置くタイプ。これはジッテが強く推奨する広場である。

もう一つはフレンチ式。パリにあるヴォージュ広場のように計画的につくられた広場である。形を計画し、周囲に建物のファサード計画し、広場中心部に王の像を建てることを計画する。フレンチ式は理性により規則的あ空間を創造する。これはジッテが否定する広場である。

どちらが優れている云々でなく、街並・建物との調和の問題であろう。

《代表例》
イタリア式/カンポ広場(シエナ)、チステルナ広場(サン・ジミニャーノ)
フレンチ式/ヴォージュ広場、ヴァンドーム広場(共にパリ)

パリ4区 ヴォージュ広場

Place des Vosges/パリ最古のフレンチ・バロックのプラス・ロワイヤル(王室広場)

パリらしい景観とは「同じような高さ、同じような様式の建物が連なる街並空間」であると思う。優れた歴史建造物があったところで、周囲の街並や建物が不調和なものであれば、それは歴史的建造物の価値が弱くなるに違いない。

フランスでは事前に決められた形態や様式にしたがって一団の建物をつくることを「オルドナンス」という。建物正面ファサードを統一することが求められるが、このオルドナンスが最初に適用されたのが今、若者に人気のマレ地区。そのマレ地区の一画にあるヴォージュ広場である。

ヴォージュ広場は17世紀初頭、アンリ4世の時代に「王室広場」として企画され造られた。この広場はパリはもとよりフランス初の、同じファサードの建物により囲まれた広場であり、21世紀の現在でも400年前と変わらない石とレンガの姿を見せている。

今では広場というよりも公園のように見えるが、これは17世紀中葉に芝生が張られ、18世紀末に樹木を植えたからである。

ちなみに、この広場は何事もなく単純な正方形の広場であり、カミロ・ジッテの5原則とは正反対の立場にあるが、これはフレンチ式広場で規則的な空間が求められているからだ。
フレンチ式広場とはパリ市街の街並をみれば解る通り、理性により、幾何学的で規則的な空間を創造している広場である。広場とそれを囲む建物の連動が実に重要である。

正方形のヴォージュ広場を囲む建物のファサードが別の様式だらけの異なった建物だったら、どのような印象を受けるだろうか?イタリア式ではないヴォージュ広場のようなフレンチ式で同じ建物に取り囲まれている場合には、幾何学的かつ規則的な形でないと空間全体のバランスがが釣り合わない。

パリではヴォージュ広場以降、街全体に理性に基づく空間の整序と美が継承されている。
ヴォージュ広場の誕生はパリの街に一石を投じた広場であり、ジッテ5原則には反するが正に刮目に値するフレンチ式最古の広場である。

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街園

東京には広場に似た空間として『街園』がある。

街園(街路庭園)。それは、都市の道路上の広場・空地・都市空間であり、大きな街路樹やモニュメント等がその空間の中にある。都市の道路の機能は単純に交通スペースのみではなく、都市生活における癒しや寛ぎ・憩いといった重要な公共的空間の場としても存在している。

※都内にある代表的な街園

  • パティオ麻布十番
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  • 中野 新井五差路
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